お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~
「…コ……ナツコってば!」
「ひゃあっ!びっくりした!…いきなり何、葵」
私の左側から大きな声がして、我に返る。
「いきなりじゃないし。ナツコの方こそパン持ったまんまで何ボーッとしてんの。落とすよ?」
6月に入り、少し雨っぽい日が続いてたけど、今日は天気もよかったから、内勤の今日は葵と一緒に公園のベンチでランチ。
と言っても、コンビニで買ったパンだけど。
「ごめんごめん。いやー金曜日は疲れが溜まっちゃってさー、ボケッとしてたわー、あはは」
なんてうそぶいてみる。
桜賀の事を考えてたなんて、葵にも言えないからね。
「ナツコはさぁ、知らず知らずに頑張りすぎる癖があるから、夜はちゃんと休みなよ?…で、ナツコはあれ、もう応募したんだっけ。締切って今月末でしょ?」
「マスコットキャラクターの?」
「そうそう。ナツコ、そういうの昔から得意だもんね」
「それならもうとっくに応募したよ。得意かどうかは微妙だけど、好きだしね。小学生の頃はよく2人で自由帳に描いてたよね、懐かしい」