お守りに溺愛を込めて~初恋は可愛い命の恩人~

「…私と一緒にいることで葵にも迷惑かけてごめんね」

金曜日の今日は、私の部屋で家飲み女子会。

「なぁに言ってんの!あたしは何も迷惑なんか被ってないから!それにあたしらには 爽維(そうい)がついてるし!〝クソガ〞がナツコに必要な連絡を止めても、爽維とあたし経由でちゃんと伝わってるもんねーッだ。あいつらのくっだらないイジメには屈しないわよ!」


爽維、というのは藤間主任のお名前。
実は、藤間主任、もとい、藤間 爽維(ふじま そうい) くんは私達の幼馴染みで、5歳上の私のお兄ちゃんの同級生なんだ。
そして、葵は大学生の頃から爽維くんとお付き合いしているの。

でも交際については会社には内緒にしてるみたいだから、私も爽維くんと旧知の仲である事は隠している。


あ、そうそう。
以前桜賀が「藤間主任に食事に誘われたらどうする?」と聞いてきた、あの藤間主任ね。
桜賀もああ言ってたくらい容姿も素敵な大人の男性で、性格も穏やかで優しくて頼りになる人なんだ。

今回の件も、爽維くんには葵を通してすごくお世話になってて、それはほんとに申し訳なく思う位。

でも、今は特に私達三人の関係を知られたくないから、オフィスでは爽維くんもあえて私に優しい顔は見せない様にしてくれている。


ちなみに〝クソガ〞とは50代後半の曽我課長のこと。
元々社員の選り好みが激しい人で、美人や可愛い女性をとにかく贔屓し、自分に楯突く者には容赦なくパワハラをするので、特に男性社員の間で〝クソガ〞って言われてる。

< 72 / 267 >

この作品をシェア

pagetop