告白[Confession of love]
PHASE-01
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《《《 PHASE-01:高校2年生 1月 》》》
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「じゃ、教室入ろうか。頭ぶつけないように気をつけてね」
今日から担任になる、鈴木先生だ。
緊張気味に「はい」と答えた俺は、先生に続いて教室に入る。教室の引き戸をくぐると、ザワついていた教室が静まりかえった。
「——あら、どうしたの? みんな、シーンとしちゃって。今日から新しくクラスメイトになる、木村拓巳《きむらたくみ》君です。高校2年生はあと数ヶ月しか残ってないけど、木村君が『このクラスで良かった!』って思えるように、色々と協力してあげてね。——じゃ、木村君。早速だけど、自己紹介してくれる?」
「は、はい。はじめまして、木村拓巳です。二つ隣の七浜市《ななはまし》から越してきました。えーと……前の高校と違って、校舎がとても綺麗で驚いています。今日から、よろしくお願いします」
鈴木先生が拍手をすると、生徒もそれにならって拍手をしてくれた。
「木村君、背高いよね? いくつあるの?」
「えーと……191センチです」
鈴木先生の問いに答えると、教室からは「お〜」という歓声が上がった。
「191センチかー。スポーツとかやってたの?」
「中学の時はバスケやってたんですが、前の高校では帰宅部でした」
「あー、なるほど。もしかして、ウチのバスケ部から勧誘あるかもしれないわね。——何か、木村君に質問のある人いる?」
先生が言うと、すぐに手を上げた生徒がいた。短髪で明るい髪の、みるからに活発そうな男子だ。
「木村君は何て呼んだらいい? あだ名とかあった? あ、ちなみに俺は神野純太!」
神野という生徒は、よく通る声でそう言った。
「名字より、名前で呼ばれる事が多かったかな……拓巳って。——あ。キムタクって呼ぶ女子もいたけど」
教室が少しだけわいた。
どんな自己紹介をするか考えていた事の一つに、キムタクのネタはあった。
「アハハ、そうなんだ。じゃ、俺も拓巳って呼ぶわ。俺の事は、純太でいいから!」
神野……いや、純太は明るくそう言うと、俺に手を振った。
「——じゃ、質問はそんな感じでいいかな? 神野君はああ見えて頼りになる子だから、分からない事あったらどんどん聞いちゃってね」
「ああ見えてって何だよ、先生!」
そう言って純太は笑った。周りの生徒達も笑っている様子を見ると、純太はクラスの人気者なのだろう。
「じゃ、挨拶はこのくらいにして、木村君も席に着こうか。えーと……あそこの空いている席ね。——九条《くじょう》さん! 木村君が持っていない資料とかあったら、見せてあげてね」
九条さんと呼ばれた女子生徒は、澄んだ声で「はい」と答えた。
そして、俺の視線が彼女を捉えた瞬間——
俺は恋に落ちた。
《《《 PHASE-01:高校2年生 1月 》》》
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「じゃ、教室入ろうか。頭ぶつけないように気をつけてね」
今日から担任になる、鈴木先生だ。
緊張気味に「はい」と答えた俺は、先生に続いて教室に入る。教室の引き戸をくぐると、ザワついていた教室が静まりかえった。
「——あら、どうしたの? みんな、シーンとしちゃって。今日から新しくクラスメイトになる、木村拓巳《きむらたくみ》君です。高校2年生はあと数ヶ月しか残ってないけど、木村君が『このクラスで良かった!』って思えるように、色々と協力してあげてね。——じゃ、木村君。早速だけど、自己紹介してくれる?」
「は、はい。はじめまして、木村拓巳です。二つ隣の七浜市《ななはまし》から越してきました。えーと……前の高校と違って、校舎がとても綺麗で驚いています。今日から、よろしくお願いします」
鈴木先生が拍手をすると、生徒もそれにならって拍手をしてくれた。
「木村君、背高いよね? いくつあるの?」
「えーと……191センチです」
鈴木先生の問いに答えると、教室からは「お〜」という歓声が上がった。
「191センチかー。スポーツとかやってたの?」
「中学の時はバスケやってたんですが、前の高校では帰宅部でした」
「あー、なるほど。もしかして、ウチのバスケ部から勧誘あるかもしれないわね。——何か、木村君に質問のある人いる?」
先生が言うと、すぐに手を上げた生徒がいた。短髪で明るい髪の、みるからに活発そうな男子だ。
「木村君は何て呼んだらいい? あだ名とかあった? あ、ちなみに俺は神野純太!」
神野という生徒は、よく通る声でそう言った。
「名字より、名前で呼ばれる事が多かったかな……拓巳って。——あ。キムタクって呼ぶ女子もいたけど」
教室が少しだけわいた。
どんな自己紹介をするか考えていた事の一つに、キムタクのネタはあった。
「アハハ、そうなんだ。じゃ、俺も拓巳って呼ぶわ。俺の事は、純太でいいから!」
神野……いや、純太は明るくそう言うと、俺に手を振った。
「——じゃ、質問はそんな感じでいいかな? 神野君はああ見えて頼りになる子だから、分からない事あったらどんどん聞いちゃってね」
「ああ見えてって何だよ、先生!」
そう言って純太は笑った。周りの生徒達も笑っている様子を見ると、純太はクラスの人気者なのだろう。
「じゃ、挨拶はこのくらいにして、木村君も席に着こうか。えーと……あそこの空いている席ね。——九条《くじょう》さん! 木村君が持っていない資料とかあったら、見せてあげてね」
九条さんと呼ばれた女子生徒は、澄んだ声で「はい」と答えた。
そして、俺の視線が彼女を捉えた瞬間——
俺は恋に落ちた。
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