告白[Confession of love]
 マックを出てからの帰路は、九条……いや佐緒里と二人になった。

 電車通学の純太とは、さっき駅で別れたところ。ここから先は、いつも二人きりだ。

「さっきすれ違った彼……吉野だっけ?」

「——そう、吉野拓巳くん」

「俺たち三人とすれ違うのは、気まずかっただろうな……」

 そう言うと、佐緒里は「そうだね……」と、繋いでいた手にギュッと力を入れた。

 もちろん、手を繋ぐのは二人きりの時だけだ。

「関係無いとは思うけどさ……フラれた相手の彼氏が同じ名前って、何か嫌だろうな。なんとなくだけど、俺だったら嫌だろうなって……」

「漢字まで一緒だもんね。——もうやめよう、吉野くんの話は」

 佐緒里は俺を見上げて、そう言った。

「ああ、分かった。——にしても、春休み中に佐緒里に告白しておいて良かったよ。もしかしたら、俺がフラれた側の拓巳になっていたかもしれないし……」

「何言ってるの! 私も拓巳の事が好きだったんだから、告白の順番なんて関係無いし! ——って言うか、この話は終わりって言ったじゃない!!」

 そう言って、佐緒里は俺を突き飛ばしてきた。

 学校ではあまり見せない、俺の大好きな——

 イジワルそうな、笑みを浮かべながら。



〈 告白[Confession of love] 了 〉




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