告白[Confession of love]
 そんな和やかムードでマックに向かう途中、すれ違う男子生徒に純太が声を掛けた。

「お、おう! 学校戻るのか?」

 声を掛けられた男子……確か、九条に告白をした男子生徒だ。

「そ、そう。教室に忘れ物しちゃってさ。——じゃ、じゃあまた明日」

 その彼はぎこちなくそう答えると、高校へと戻っていった。


「——気まずかっただろうな、フラれた女子とすれ違うのは」

 俺が言うと、純太は「えっ!?」と声を上げた。

「な、なんだよ。アイツが九条にフラれた事、知ってるのか?」

「ご、ごめんなさい、それ言っちゃったの私なの。放課後、校門で拓巳を待たせてたから、待たせた理由も言わなきゃって……」

「なっ、なるほど……そういうことか。まあ付き合ってたら、そんな話も出て当然だよな。——実は黙ってたけど、俺もアイツが九条にフラれた事は知ってたんだ」

 今度は、俺と九条が大声で「えっ!?」と返す番だった。

「ああ、そういえば……1年生の時に同じクラスだったんだよね、神野くんと吉野くんは。——そんな話するほど、仲良かったんだ」

「まあ、仲良いって言っても、そこそこだけどな。その日はアイツ、元気無さそうだったから声を掛けたんだよ。そしたら、『昨日フラれたんだ』みたいな話になって」

「へー、そんなことがあったんだ。純太って、結構お人好しなとこあるからな」

「あ、あと……すまん。その時、お前たちが付き合ってるって、アイツに言っちゃったんだ」

「そうだったんだ。でも、今となってはもう大丈夫だよ。——ね、拓巳?」

 九条は俺を見上げて、そう言った。
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