君と始める最後の恋
「先輩、本当にわからないです。どういう意味ですか、はっきり言ってください。」

「…君と一緒にいると乱される。しんどい。」


　しんどいのは私もだよ。何でそんな苦しそうな表情するの、はっきり言ってほしいだけだよ、先輩の気持ちを。そんなに言うのが難しいですか、ここまで促しても。こんなに苦しいならもう、先輩を好きで居るのやめたい。と、そんな負の感情がぐるぐると周っていた。

　感情と共に、涙も一緒に零れてきてもう止められなかった。

　期待して、期待する度に脈なんてなくて、毎度そんな風に過ごさせられて、こんなに振り回されて、嫌になる。

　そんな私の涙に先輩が一瞬動揺しているのが見えたが、その後少し恥ずかしそうに隠すのを諦めた様な表情をしていた。


「小川と君がいる所見たくないんだよ。」

「…は？」


　思わぬ言葉に涙も一瞬で引っ込んで顔を上げると、少し顔を赤くして口元を隠している一ノ瀬先輩が居た。

　小川くんと居る所を見たくないなんて言葉が聞こえてきた様な気がしたけれど、聞き間違い…？それってもしかして嫉妬？

　そうとしか思えない発言に、困惑がさらに強まる。


「俺は、同じ男だしあいつが君をどんな目で見てるかとか多分君より分かってる。だから、ようやく前向いて色々考えてるのに簡単に君があいつに攫われるんじゃないかって。」

「…それ、嫉妬ですか？」

「絶対言うと思った…。」


　私の発言を嫌そうな顔で聞いている。否定をしない辺り、本当に嫉妬なのかもしれない。私も単純だから、そう思うだけで嬉しくなって口元が緩んでしまう。
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