君と始める最後の恋
それから数か月間、特に誘う事も出来ず時間だけが過ぎて、夏の去り際、秋が姿を現してきていた。ほんの少しだけ涼しくなって、少し前まで暑さにうんざりしていたのに、今はあの暑さと夏でしか味わえないイベントが恋しい。
その時はうんざりしても、無くなったらまた欲しくなる。
私は我儘で、自己中心的な人間だなとそんなことで実感する。
私と一ノ瀬先輩の間に進展は相変わらずなくて、中々動き出せない自分にもまた、うんざりしていた。
ある日の昼休み明け。
資料室で色々と資料を見ながら先輩との事を考えていた。
どこかに行こうってなる時はいつも先輩から誘ってくれている事を思い出し、たまには私から夕飯のお誘いとかしてみても良いんじゃないかと考える。
そんな時に、滅多に人が来ない資料室のドアが開いた。
志織ちゃんかな。と思い、棚から顔を出してドアの方を見て「志織ちゃん、どうかし…」まで声に出していたら、私が話しかけていた人物は一ノ瀬先輩だった。
一ノ瀬先輩は真顔で、私だけが少し恥ずかしい。
先輩を志織ちゃんと間違えるなんて…。
「ごめんなさい。志織ちゃんだと思って。」
「うん。今日これから出るけど、退勤前には戻ってくるつもり。何かあったら連絡して、それと小川も今日は連れてくから。」
「了解です。」
「じゃあ、よろしく。」
そう言いながら立ち去ろうとする先輩を、思わず慌てて後ろから腕を掴んでしまった。
そんな私の行動に先輩が驚いた表情でこちらを見ている。普段ならば、先輩の腕を急に掴むとか失礼な事をしないけれど、ここを逃したら誘えるチャンスはきっと無いと思ったから、少し大胆な行動に出てしまった。
「今日、定時で上がれそうなんです。」
「うん?」
何で私こんな意味わかんない宣言して…、と、頭を抱えそうになる。当然、こんな事が言いたいのではない。
その時はうんざりしても、無くなったらまた欲しくなる。
私は我儘で、自己中心的な人間だなとそんなことで実感する。
私と一ノ瀬先輩の間に進展は相変わらずなくて、中々動き出せない自分にもまた、うんざりしていた。
ある日の昼休み明け。
資料室で色々と資料を見ながら先輩との事を考えていた。
どこかに行こうってなる時はいつも先輩から誘ってくれている事を思い出し、たまには私から夕飯のお誘いとかしてみても良いんじゃないかと考える。
そんな時に、滅多に人が来ない資料室のドアが開いた。
志織ちゃんかな。と思い、棚から顔を出してドアの方を見て「志織ちゃん、どうかし…」まで声に出していたら、私が話しかけていた人物は一ノ瀬先輩だった。
一ノ瀬先輩は真顔で、私だけが少し恥ずかしい。
先輩を志織ちゃんと間違えるなんて…。
「ごめんなさい。志織ちゃんだと思って。」
「うん。今日これから出るけど、退勤前には戻ってくるつもり。何かあったら連絡して、それと小川も今日は連れてくから。」
「了解です。」
「じゃあ、よろしく。」
そう言いながら立ち去ろうとする先輩を、思わず慌てて後ろから腕を掴んでしまった。
そんな私の行動に先輩が驚いた表情でこちらを見ている。普段ならば、先輩の腕を急に掴むとか失礼な事をしないけれど、ここを逃したら誘えるチャンスはきっと無いと思ったから、少し大胆な行動に出てしまった。
「今日、定時で上がれそうなんです。」
「うん?」
何で私こんな意味わかんない宣言して…、と、頭を抱えそうになる。当然、こんな事が言いたいのではない。