君と始める最後の恋
伝わる想い
 そのまま更に人気のない非常階段まで連れてこられて、今も全く状況がわかってない。

 ここで良いと思ったのか先輩はそこで足を止めて、こちらに振り向いた。その時の表情が凄く悩んでいる様な表情をしていて、今日は小川くんも先輩も変だ。


「先輩、私小川くんに話あるって…。」

「知ってるよ、水無月さんから聞いたから。」


 志織ちゃんが?何で志織ちゃんが小川くんとの話の事を先輩に言ったんだろう。何の話か全くわからない。

 その言葉は先に俺が言うからって何?私は全く理解できないのに、先輩は小川くんが何の話するか分かっていたかの様な発言をしていた。


「…あーもう、こんなはずじゃなかったのに。」


 そう呟く先輩は掴んでいた私の手首から、今度は優しく手を掴む。

 こんな風に何かを言い渋ってる先輩を見るのはあまりないから何の話か緊張してくる。


「本当は、もっとちゃんと場所で言いたかったし、なんなら外に出かけた時って思ってたけど俺以外の誰かに先に言われるのは嫌だったから。」

「先輩、本当に何の話ですか?」

「は?君、小川が何の話するか分かってなかったの?」

「何で分かる前提なんですか…。先輩が何を言いたいかも全く分かりません。」


 そう告げる私に深く溜息を吐く。

 何で私が溜息を吐かれなきゃいけないんだ。と、失礼な先輩を少しだけ睨みつける。
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