君と始める最後の恋
「…今は分かってくれるだけでいいから、ちゃんとした言葉と返事は後日にして。」

「…はい。」


　首を傾げながらもひとまずする返事に、一ノ瀬先輩が深く深呼吸をしてから、私と目を合わせるといつもより少し緊張している先輩が居た。

　繋いでいる手から緊張が私にまで伝わってくる。


「桜庭さん、好きだよ。」


　え…？

　シンプルな言葉なのにその言葉を理解する頭を今は持っていなくて、その言葉をすんなり受け入れられずにいる。

　今、好きって言った？なんて頭の中で何度か言葉を繰り返すも言われた実感が湧かない。


「今週、土曜日空けておいてくんない？またその時にちゃんと伝えたい。返事もその時が良いから、ゆっくり考えてて。」

「え、あ…、はい。」


　すごく嬉しいはずなのに何だか夢なんじゃないかって思えて全然現実を受け入れられない。

　何で？いつから？先輩を見ると顔がいつもより少し赤くて本気だって分かるのに。というか何で私は土曜日まで待ってって…。そんな告白予告とかある？


「先輩…、私この平日はどんな顔で過ごせば…？」

「俺もそれは気持ち同じ。だから、この人私の事好きなんだなって思いながら過ごしてて。」

「そんなん…私だって！」


　言葉を続けようとした私の口を手のひらで塞ぐ。
< 151 / 426 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop