君と始める最後の恋
 それから数日経っても、小川くんは何かを言ってくる事は無かった。

 だからと言って、私から何も言える事が無く、そのまま土曜日を迎える。

 今日はどこに行くかも聞いていない。予定は先輩が組んでくれるという話だったのでそのままお任せしていて、すごく楽しみだった。

 秋と言えど若干寒いので白の長袖のシャツに黒のジャンパースカートに上には白のカーディガンを羽織る。

 変じゃないかなと立ち鏡の前でくるっと回って、確認してからそのまま今度は洗面台のほうへと向かった。

 最後に髪のアレンジをして、準備を終わらせると、その待っている間も緊張でずっとそわそわしてしまっていた。もうすぐ先輩が迎えに来てくれる時間なはず。

 家の中にいても全く落ち着かないので、少し気分転換に早めに外で待つ事にした。数分程外で待っていると、いつもの見慣れた車が前まで来る。

 助手席のドアを恐る恐る開けると中には当然先輩がいる。深いブラウンカラーのセットアップで、中は黒のタートルネック。何を着ても似合う先輩だけどセットアップも似合う、可愛い。


「お、お願いします?」

「どうぞ。」


 返事を聞いてから、助手席に乗り込む。
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