君と始める最後の恋
「…いつも以上に甘くない?」

「そりゃあ甘いですよ。ねぇ?」

「何の話か分かってる?コーヒーの話してるんだけど。」

「え。」


 私が言っていたのは雰囲気の話だったけど先輩はコーヒーが甘い事が気になるらしい。コーヒーはいつも通り淹れたはずだけど。


「え、そんなはず…。」

「飲んでみたら?」


 そう言って自然にマグカップをデスクの上に置いてくる先輩に思わず驚く。

 先輩これ間接キスですよ…。天然ですか?それ。なんて思いながらも、ひとまずコーヒーを飲んでみると確かにいつもより甘い。


「あれ、私砂糖入れすぎた?」

「君こういう時毎度やらかすよね。何か考え込んだり浮かれている時。」


 先輩は呆れながら笑い、コーヒーを取り返すと自分のデスクに戻した。

 それでもちゃんと飲んでくれるの、愛でしかない…。

 こんな事伝えたら「残すの勿体ないでしょ。」なんてツンデレ発揮されるのだろうけれど。

 2人の間でバレてはいけないというのは共通認識なので、明らかに態度は出さない様にしていたけど、幸せである事には違いなかった。

 志織ちゃんはそんな私達を見てニヤニヤとしている。


「志織ちゃん。」

「郁先輩が可愛いなって思ってニヤけているだけです。」

「もはや何の話だかわからないよ。」


 そんな志織ちゃんには気にしないようにして、自分の仕事を進める。
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