君と始める最後の恋
────Side 類


 週明け、結局金曜日の夜から月曜の朝まで彼女はうちに居た。別れたのはさっきなのに、もう会社に着いているようだ。

 デスクに着くといつもこのタイミングで彼女がコーヒーの匂いを漂わせて「おはようございます、先輩」と元気に挨拶をしてくる。さっきまで一緒のベッドで俺の腕の中で丸まっていたとは思えないくらい、身だしなみも綺麗にしてきちんと服装も変えてきている。

 本当は日曜の夜帰すつもりだった、彼女も帰るつもりだったのに結局だらだらと彼女と過ごす内にお互いに離れがたくなって流されるまま一緒に居た。

 ここまで彼女は隠し通せていて完璧なはずなのに、俺の顔をみるなり顔を真っ赤にしてふいと逸らした。


「(わかりやすすぎ、バレたいの。)」


 そんな態度を取られたら俺達の間に何かあると簡単に感づかれてしまう。彼女との交際は危なっかしい。

 ふと目の前のデスクに目線を移すと、今日も郁を目で追っているうちの後輩。こいつもわかりやすいななんて思いながらも、朝から1度メールのチェックをすることにした。隠す気がもはやないのか、そもそも部署内恋愛禁止を知らないのか。

 禁止というほどでもないが、もし見つかればどちらかが部署異動はよくある話だ。実際2課でくっついた恋人同士が3課に異動になったり、全く関係のない部署に回されたり。郁との仕事に慣れてきた頃だし、部署異動にはなりたくなかったしさせたくなかったから、2人の関係をまだ秘密にしようと約束した。

 郁は「先輩の補佐は誰がなんと言おうと私だけなんです!」と鼻息を吹かして言っていたけど。

 そんなわけで俺達は秘密の部署内恋愛を続けている。

 今日は外回り、小川の最後の外回り研修。最初こそ生意気を言っていたもの、優秀だし問題なく独り立ちさせられる。彼女も水無月さんの研修は済んでいるらしいし、問題なく事を進めれる。仕事の方はかなり順調だった。
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