君と始める最後の恋
「君は思ったより俺の生活の中に踏み込んだりしてきてて、常に君の事考えさせられてるよ。」

「え、え?どういう意味ですか?」

「君が好きそうな物とか場所とかの事考えたり、君と行きたい場所を考えたりするぐらいにはいつも考えてる。」


 少しわかりにくいけど先輩なりの言葉で伝えようとしてくれている。好きとか真っすぐでそんなシンプルな言葉ではないけど、多分先輩なりの好きを今伝えようとしてくれている。


「違う、こういうのじゃなくて…。」


 先輩が少し困った様な表情をして、私の方を見る。自分で言葉にしてそんな表情をしているのでもはやよくわからない。何か言いにくそうな、言葉にしにくそうなそんな表情。


「ああ、もう…だから。」


 そう言って頭を掻いて、何か言い切れないようなそんな感じ。

 そしてもう一度私の方を見て「誰よりも好きだよって言ってんの」と、照れくさそうに頬を染めながら、言葉を放つ類くんに思わず息を飲んだ。
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