君と始める最後の恋
「今日お出かけやめない?」

「え、私が起きるの遅かったから?」

「違う、色々話す日が必要なんじゃない?俺達は。」


 そう言いながら私の背中に手を当てて、ソファーに促す。そして座らせると、私の手を握ってこちらを見る。いつもより少し真剣な表情に緊張してしまう。

 話すって、何を…?


「まだ自分より沙羅のが好きなんじゃないかとか思ってる?」


 はっきり答えられなくて、何も反応できない。沙羅さんをどのくらい好きだったかとかわかっているから、自分がいつか沙羅さん以上になれるんじゃないかって思えないの。

 私の反応を見て類くんは「わかった」と呟いた。

 私のこの反応がどれだけ類くんを傷付けてしまうものかも分かっている、だけど、この自信の無さはすぐには無くならない。


「本当に何も伝わってないな。わかってはいたけど。」

「伝わってない…?」

「うん、君は俺の事何もわかってない。」


 そう言うと少し笑って「今から言う事1回しか言わないから、よく聞いて」と手を握ってこちらを見る。
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