君と始める最後の恋
「え、類、くん?」

「おはよ、って、君何帰る準備してんの。」


 ソファーに座ってノートパソコンを開いていたのを閉じてテーブルに置くとこっちに寄ってくる。


「あ、いや、熱も下がったし移すと困っちゃうので帰ろうかなって思って。そしたら居ると思わなくて。」

「今日は外回り終わった後直帰許可もらって在宅にしてもらったの。熱、何度だった?」

「37.3です。もう微熱だし元気に動けるので。」

「何言ってんの?今日帰す気無いけど。」


 そう言って私の背中に手を添えてまた寝室の方に追いやられてしまった。

 こんな風に迷惑かけたかったわけじゃないのに、と思うも類くんは私をベッドにもう一度座らせると、しゃがみこんで私のことを見上げる。

 それから両手で優しく私の手を掴んだ。


「バカじゃないの、何で本調子じゃないのに帰ろうとかするわけ。」

「だ、だって、移しちゃったら大変ですし!」

「…本当、最近ようやくまた我儘言わせれる様になったと思ったのに、どうやったら君は学習するんだろう。」


 そう言いながら困った表情をして溜息を吐いている。

 我儘なら十分言った、食べさせてとか一緒に居てってきっと類くんからしたら子供じみた我儘を言った。
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