君と始める最後の恋
「…わかった、じゃあここを君が帰る場所にしよう。」

「──え?」


 一瞬何を言われたかわからなかった。今類くん凄い事言わなかった?すぐに理解は出来ないまま私は類くんの顔を見つめる。


「一緒に住めば。」


 そんな静かな声で急に同棲を促されて驚く。

 何で急に同棲…?もうすぐ付き合って半年は経つけど、それで同棲?こんなに早く話に出ると思ってもいなかったから、そこに関しても驚きだった。


「な、何で?」

「近くに居て理由作らないと君はすぐ1人で頑張りすぎようとするから。ここが家になれば君はここに帰ってくるしか無いし、俺は君のいろんなこと気付けるから。」

「め、滅茶苦茶です!言ってること!」

「何、一緒に住むの嫌なの。」

「い、嫌とかじゃ…。」


 ないですけど…の声は小さく漏れる。

 その聞き方はすごくずるい…。一緒に住みたいかって聞かれたら住みたいけど、本当に同棲…?

 でも今は会社で秘密にしてて住所とか届け出なきゃいけなくなっちゃうし、それで類くんと同じ住所になると交際がバレてしまう。

 類くんからされると思っていなかった提案と、秘密にしていた社内恋愛を報告しなければいけなくなる。つまり、生活面だけでもなく、どちらかの仕事面もガラッとスタイルが変わってしまうという事だ。

 そして、両方とも変わるとなれば、恐らく私。
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