君と始める最後の恋
「先輩。交際してる事とか隠せなくなっちゃいます…。引っ越したら総務部に住所届け出なきゃいけなくなっちゃうし、それに…、同じ家に住んでて隠すなんて…。」

「じゃあ、君はいつまで隠すつもり?結婚するまで?」

「け、結婚って!」


 思わぬ言葉ばかりでかなり驚いてしまった。

 同棲とか結婚とかどれもこれもまだ私の頭の中には1つも無かった事でそのワードが類くんから出てきた事が驚きだった。類くんは冗談を言っている様子もないし、全部本気って受け取っていいのか悩んでしまう。


「…本気で言ってます?」

「本気で言ってる。同じ部署に居る事に拘るよりも、もっと他に大事なことあるし…。それに君は一緒に住みたくないの?」


 ああ、本当ずるい。その聞き方がまた少し可愛らしいのも私にグッと刺さってしまう。類くんのこと、凄く好きだし、いつかは一緒にとそりゃ思ってたけど。


「類くん、一緒には住みたい。住みたいけど、でも…。」

「わかった、言い方変える。一緒に居て。」


 私に聞く言い方ではなくてお願いみたいな言い方をすると私が言う事を聞いてしまうのをこの人はわかっているずるい人なのだ。本当普段は冷たいくせに2人で会うと、こんな風に時々優しくしてくれるの。私の扱い方もよくわかっている。
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