君と始める最後の恋
 そんな私の考えを察しているかの様に、少しだけ笑みを見せてくれた。


「俺も同じ気持ちだけどね、君が無理して倒れたらって結構気が気じゃないから、たまに朝寝坊してくれるくらいの方が少し安心する。」


 本当に心配してくれていたのだと思う。
 手を握ってくれたけど、その時いつもより力が入っていたから。

 類くんのどれもこれも優しい裏側の話に泣いてしまいそうになる。


「で、部長が言う様な理由で君の事家庭に入ってもらったわけじゃないから。というか、伝わってるって思いこんでた。」

「だ、だって…、なんとなく信じがたいでしょ。あんな独占欲だけの理由で…。」

「わからないなら、何回でも言うけど。
君の笑顔とかに勝手に惚れ込む馬鹿が居るから、それが嫌だっただけ。」


 独占欲の強さは分かっていても、そこまでする?となってしまう理由なだけにずっと信じ込めずにいた。

 本当に私は類くんを知っている気になっているだけだったんだと思う。ここまでこの人に言わせるなんて情けない。
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