君と始める最後の恋
「もう、本当何言ってるんだか。」


 そう苦笑いで返すのでいっぱいだった。


「最近、沙羅の家に行くと君がいるから、気が紛れて助かる。1人であの家行くと色々考えるから。」

「…私も色々考えるので複雑ですけど。」

「分かってるよ、ちゃんと酷い事してるなって自覚ある。今日も、多分俺が1人で来たくなかったんだと思う。」

「自分勝手ですね、先輩。」

「そうだよ、だから言ったじゃん。君が言うほど優しくもないからって。」


 何開き直ってんだ。と、言いたい気持ちを抑えて、隣で話を聞く。

 本当酷い人だと思う。私はこんな酷い人を好きになってしまったんだ。こんなに自己中で我儘で最低で酷い人。それでも好きなんだから私もどうしようもない。


「先輩。」

「何。」

「…何でもないです。」

「何それ。」


 私の様子を不思議そうに見ては、また空に視線を移す。

 本当は貴方に好きだって伝えたかった。だけど、もう2度とは言えないの。言ったら困らせるって分かっていたから。

 ようやくオレンジジュースを飲み干して立ち上がる。


「さ、戻りますよ!オレンジジュース飲み干したので!」

「はいはい。」


 もう好きなんて言わないから、先輩も期待なんてさせないで、特別扱いももうしないで。

 そう願って2人の元へと並んで戻っていく
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