君と始める最後の恋
前を向く
 今日は遂に充さんと沙羅さんの結婚式。外は太陽が明るく街を照らしていて、雲一つない。

 今日のおめでたい日には持って来いの天気だけど、私はどうも純粋な気持ちで今日という日を喜べなかった。

 結局先輩は沙羅さんに気持ちを伝える事が出来ないまま、今日を迎えてしまった。すごくおめでたい日なのに、一ノ瀬先輩の事を思えば本当にこれで良かったのか考えてしまう。

 充さんと沙羅さんのためを思って、先輩が気持ちを隠す。本当にそれでよかったのか…?なんて、うだうだと考えながら色々と準備をして、少しするとスマートフォンの通知音が鳴る。

 今日は先輩と一緒に会場まで向かうので、マンション前についたという知らせだ。

 貰ったイヤリングだけ忘れない様に身に着け、急いで下に降りる。下に行くとスーツにコートを着こなした先輩が居た。


「お待たせしました。」

「ん、行くよ。」


 いつも通り助手席に乗り込む。

 今日の先輩はいつもよりも少し表情が固い気がする。

 大事な日、だもんね。絶対綺麗なんだろうな、沙羅さん。
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