君と始める最後の恋
　駅に着くと先輩の方に向く。


「じゃあ、反対方向なのでここで。」

「…うん。」


　私の言葉に先輩が短く返事をする。

　この瞬間はいつも寂しいと思うけれど、私達は恋人同士では無いから簡単に引き止める事は出来ない。

　それに、明日は平日の月曜日。つまり、仕事の日。遅くまで引き留めてしまうと、明日に響いてしまう。

　そう考えて「それでは」と立ち去ろうとしたら先輩に腕を掴まれた。少し驚いて先輩の方を見ると、先輩は「送ってく」と言ってくる。


「え…！？あ、いや、大丈夫です！家反対ですし。」

「また君が変なのに引っかかったら困るから。だから、送っていく。」


　昼間の事もあり何も言い返せない。それに理由は私の注意不足だとしても、好きな人と一緒に居られる理由が出来て嬉しくて拒む事なんて出来ない。


「…じゃあ、送ってください。」

「ん。」


　短く返事をすると私の腕から手を離す。

　もう本当、こういう所。こういう風に優しくするからまた私は先輩を好きになる。
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