クールな総長は私だけにとびきり甘い
ことはの心臓が、ドクンと高鳴った。

 するとその時――

 蓮がふいに顔を上げ、ことはの方を見た。

 目が合った。
 ほんの一瞬だった。けれど、ことははその視線に確かに気づいた。

 そして――蓮が、口の端をわずかに持ち上げた。

 ……微笑んだのだ。

 ことはの胸が、ドキンと音を立てた。

 その微笑みに気づいたのは、教室でたぶん、彼女だけだった。
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