クールな総長は私だけにとびきり甘い
「……マジか」
「ことは、大丈夫……?」
誰かの小さな声が聞こえたけれど、ことはは答えなかった。
ただ、まっすぐ蓮の方を見た。
蓮も、ことはを見ていた。
昨日と同じ目で。だけど、ほんの一瞬だけ、口元が緩んだ。
「じゃ、みんな新しい席に移動ー!」
ガタガタと机が引かれる音の中で、蓮が無言でことはの隣に座る。
お互いに何も言わないけれど、昨日から続いている“何か”が、そこにちゃんとある気がした。
ホームルームの内容は耳に入ってこなかった。
窓の外の空と、すぐ隣の存在が、やけに近くて落ち着かなかった。