クールな総長は私だけにとびきり甘い
その日、最初の授業は国語だった。

 ことはは教科書を開きながら、時々ちらりと隣を見る。

 蓮は静かにノートを取り、先生の話を聞いている。

 周囲が思っているような「不良」っぽさはまるでない。ただ、誰にも関わろうとしないだけ。

(……ちゃんと授業、受けてるんだ)

 そんな当たり前のことに、少し驚いた。

 すると、ページがめくられる音のあと、蓮が手を止めた。

 どうやらプリントの配布が間に合っていなかったらしく、机の上に用意されていないようだ。

 ことはは、自分のプリントを半分だけずらして見せた。

 「一緒に見ていいよ」と言う代わりに、そっとページを開いたまま置いた。
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