さくらびと。美桜 番外編(2)
声が震えた。



握った手に力を込める。






「医学も研究も全部……君への想いがあって初めて意味があるんだよ」







美桜の瞼がゆっくりと下がっていく。







疲れが見えても彼女は話を止めようとしなかった。






「ごめんね……こんな短い、結婚生活で……」





「謝らないでくれ」







「でも……」







「美桜…、僕は、ずっとずっと、君に謝りたかったんだ。

もっと、美桜の事に寄り添って、些細なことでも、気にするべきだった。

僕は何も見えていなかったんだ。

もっと、早く気づいていたら…もっと何かできたはずなのに!

…君をこんなふうにさせたのは、間違いなく僕のせいだ…。


美桜…本当に、僕はどう償ったらいいか…」






裕紀の頬からはらはらと涙が伝っていく。






言いかけた瞬間、美桜の手が彼の頬を優しく撫でた。





「裕紀…自分を攻めないで。決して、あなたのせいじゃない。

私が弱かったからだよ。


裕紀はずっと私を大切にしてくれてた。



私は、ずっと、幸せだったよ?」






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