さくらびと。美桜 番外編(2)
「ねぇ裕紀」






突然涙声になった美桜に驚いて顔を向けると、彼女はボロボロと泣いていた。








「ごめんね、急に……でも嬉しくて。ずっとここに裕紀と来たかったの。」






涙を拭うこともせず彼女は続けた。







「あとね、裕紀が医者として、これからの未来を想像して考えたら……なんだか胸がいっぱいになっちゃって」






その言葉に裕紀の胸も詰まった。美桜は自分の命よりも彼の将来を案じているのだ。








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