さくらびと。美桜 番外編(2)
初めての本格的なデートは、彼女の提案で蹴鞠体験になった。



平安時代の遊びを現代でできる施設があるなんて知らなかったが、そこで美桜は見事な蹴り技を見せつけた。





しかも汗だくで「やったー成功!」と叫ぶ姿は子どものようで、そのギャップに完全にやられていた。







「私ね、昔から『お姫様みたい』って言われるのが嫌だったんだ。だから運動も勉強もがんばったの」





そう語る美桜の目は真剣で、でもどこか照れくさそうで。





「でも今は少しだけ思うの。お姫様じゃなくても、自由に生きられる世界があってよかったって」






そんな話をしながらも、彼女は突然「次の休みは金閣寺まで走って行かない?」と言い出す。






全力で断ると「じゃあボート漕ぎは?」「それともお寺巡りハイキング?」







毎回振り回される僕だけど、気づけばそれが楽しみになっていた。






医学生の忙しい生活の中でも、彼女からのメッセージを待つ時間があることに感謝していた。





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