ぜんぶ、ちょうだい。

*

*

*



あれから、先輩に会っていない。顔を合わせていない。


どうしても、罪悪感が出てきてしまう。

先輩はなにがあったのかも知らないし、なんなら、知ったとしても私のことなんてどうでもいいだろうけど。



気づいたら、先輩が修学旅行から帰ってきて2週間が経っていた。


確実に、先輩不足。声が聞きたい。目を合わせたい。ただ「おはよう」って言いたい。


でも、足がすくむ。

清水のことを思い出すたびに、“私なんかが先輩の隣に立っていいのかな”って、胸の奥が重くなる。


私、このまま先輩に会えずに終わっちゃうのかな……。



「こーまーちゃんっ。お弁当食べよー」

「ひまちゃん~。ちょっとお手洗い行ってくるねっ。先食べてていいよっ」



そう言って、私は席を立った。


前の席のあいつ――清水は、相変わらず普通に話しかけてくる。

どういう神経してるの?って思う。

絶交宣言したのに、まるで何もなかったみたいに。



私は、とことん無視をしている。

目も合わせないし、返事もしない。

それなのに、清水は変わらない。いつも通りで、腹が立つくらいに。



……でも。

心のどこかで、本気で清水のことを嫌いになれない自分がいる。


< 134 / 310 >

この作品をシェア

pagetop