ぜんぶ、ちょうだい。



先輩。
私、正直言うと、先輩が来てくれるなんて思ってなかったです。

迷惑だって思われるだろうな、とか。
面倒なやつだなって、思われるかもしれない、とか。

だから今、たまらなく、うれしいです。

でもね、先輩。
ちょっとだけ、違うんですよ。



「……先輩、違いますっ!」

「……は?」



不意を突かれたみたいに、泉先輩が私を見る。



「そりゃあね、最初はたぶん、私を懲らしめてやろうって思ってたのかもしれないですけど、一緒に、先輩の好きなところを語ってただけですよっ!」

「……はぁ?」

「だからっ、そんな怖い顔しないでくださいっ」



もうっ、先輩!

早とちりがすぎますよっ、って言いたかったけど、声には出せなかった。

それなのに、胸の奥がじんわり温かくて、頬が熱を持っているのが、触らなくてもわかる。

……嬉しい。

それだけは、はっきりしていた。

3人は「ごめんなさい……」と、今にも消えそうな声で私に頭を下げてきた。
本当に死にそうな顔をしていたから、思わず苦笑してしまう。



「また、語りましょうね」



そう言った瞬間。

隣にいた泉先輩が、ぎろっと私を睨んだ。

……あ。

たぶん、今のは、言わなくてよかったやつ。


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