ぜんぶ、ちょうだい。



「どうしたら、諦めてくれる?」



頭の上から聞こえてきた、低くて優しい声。



え? 今、なんて…?



顔をあげると、そこには泉先輩。

相変わらず無表情で、何を考えているのか分からない顔。


でも、その声は、確かに優しかった。

柔らかくて、静かで、初めて聞いた、泉先輩の声。



「俺のこと、どうしたら諦めてくれる?」



もう一度、同じ言葉が降ってくる。

心臓が、ドクンと跳ねた。


先輩、私のこと…認知してくれてる。


毎朝の挨拶も、目で追ってたことも、全部、気づいてたんだ。




って、そうじゃなくて。



私、今、なんて言われたの?


“諦めてくれる?”って。



それって、私が迷惑だったってこと? それとも、ただ気になる存在だったってこと?



頭の中がぐるぐるして、 言葉が出てこない。


< 24 / 310 >

この作品をシェア

pagetop