ぜんぶ、ちょうだい。



それに、笑ってる。

泉先輩が、友達の前で。


あんなふうに、肩を揺らして笑うんだ。

少しだけ口元を緩めて、目を細めて。私が知ってる泉先輩とは、ちょっと違う。



そんなことを考えながら歩いていたのが、いけなかった。



ドンッ。



「いった~」



段ボールがぐらついて、腕に食い込む。思わず顔をしかめた。



「ご、ごめんなさいっ…」



目の前には、男子生徒が二人。

見たことない顔。たぶん、先輩。


わわわ……私の不注意でぶつかっちゃった。

しかも、段ボールの角が思いっきり当たってたかも。



「ほんと、ごめんなさいっ」



もう一度、深く頭を下げる。

すると、一人が笑いながら言った。



「手伝ってあげようか?」

「えっ、あっ、もうすぐそこなので大丈夫ですっ…!」



慌てて首を振る。

だって、今は一秒でも早くこの段ボールを置いて、泉先輩のこと、もう一度見に戻りたいんだから。



「ほんと、ぶつかってごめんなさいっ」



そう言って、段ボールを抱え直す。


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