ぜんぶ、ちょうだい。
横を通り過ぎようとした瞬間、パシッと、腕を捕まれた。
「ね、吉川小鞠ちゃんだよね?」
「へっ…?」
え……? なんで、私の名前……知ってるの?
「あー!もしかして、泉のストーカー?」
もうひとりが、私を指さして言った。
す、ストーカーって……。
いや、確かに、本人にも言われましたけども。
でも、こうして他人の口から聞くと、破壊力が違う。
「ストーカーっていうから、どんなやつかと思ったら…」
「結構可愛くね?」
……か、かわいい?
え、なに? 私がストーカーって話じゃないの?
それよりも――
「あの…えっと、手を…」
声がうまく出ない。腕を掴まれたまま、どうしていいかわからない。