溺れるほどの愛は深くて重く、そして甘い
 そして、下積みの期間も終わり、正式に智弘の秘書となった。

 秘書に至るまで約2年。もちろん、贔屓やコネなどは一切なく、あくまでも一社員として全力で会社に貢献していた。

 その頃には、彼の両親に認知もされていた。
 彼の両親は家柄ではなく、その人の能力を見てくれる方で、実際仕事に真面目に取り組んでいた私に好印象を抱いてくれた。

 
 そして、時は過ぎ、


 27歳の付き合った記念日。

 交際10年目というタイミングで、彼から「同棲しないか」と言われた。

 
 最初こそ若干戸惑ったが、同棲も案外悪くなかった。

 家事の分担も、生活リズムも、何もかもが上手くいっていた。


 
 でも、そろそろ20代も終わりに差し掛かっていた。

 
 取り返しがつかなくなる前に。
 
 
 交際して12年目。
 私は覚悟を決めて、彼に話を切り出した。
  
 
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