溺れるほどの愛は深くて重く、そして甘い
 涙がボロボロと零れ、どれだけ拭っても止まらない。
 きっと、彼が家でプロポーズをしてくれたのは、私のことを考えてくれたからだろう。家でのプロポーズでなければ、こんなに感情をあらわにして泣くことはできなかったと思う。
 未だに涙が止まらない私を見て、智弘が呟いた。

「困ったな。愛しい人が泣いているというのに、どうしようもなく喜んでしまう」

 言葉ではそう言いつつも、嬉しさを隠しきれていない。その表情は、御曹司でも何でもなくただの1人の男性のものだった。

「ぐすっ…泣き顔も愛してよね」

 そう言うと、意外そうに見られた。

「なに?」
「……前よりも、いや、前も魅力的だったが、もっと魅力溢れる人になったなと思ったんだ」

 その言葉に、思わず笑ってしまった。涙は止まらないが、それでもいい。

「ふふっ、こんなにも惜しみなく愛を伝えてくれる人がいたら、さすがに自己肯定感上がっちゃうよ」

 誰のことを言っているのか察したらしく、智弘もつられて笑った。

「これからも上げていく予定だから覚悟してくれよ」
「うん、楽しみにしてる」

 これからもずっと一緒に居られる事実を感じながら、2人で笑い合う。視線が合えば、涙がさらに溢れてくる。涙もろくなったのではない。きっとこの涙こそが、幸せが私の中に浸み込んでいる証拠なのだ。

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