推しが隣に引っ越してきまして 〜月の裏がわ〜





土曜日、スーパーからの帰り道。スマホを開くと、留守番電話の通知が一件。画面に映し出された “おばあちゃん”の文字。

ぽちっと再生ボタンを押してスマホを耳に当てる。


『凛ちゃん?おばあちゃんです。』

のほほんとしたおばあちゃんの声。
かわいい。くすっとしてしまう。

『炊き込みご飯作ったので持ってきたんだけどね、凛ちゃん家にいなくて困ってたら、通りかかった親切な方が声かけてくれて、それでね、今みんなが美味しそうに食べてくれてる』


一体何を言っているんだ!?
慌てておばあちゃんに掛け直す。


「あ、もしもしおばあちゃん!」

『あ、凛ちゃん、ごめんねえ突然来ちゃって』

「ううん、電話気づかなくてごめんね。今どこにいるの?」

『なんか、すっごく眺めがいい綺麗なお部屋!あのね、私が凛ちゃんの家の前でウロウロしてだもんだから、通りかかった人が声をかけてくださってね』

「うん」

『事情を話したら、僕から渡しておきましょうか?って言ってくれたんだけど、いえそれは悪いですよ、って言ったら、そうですか、じゃあ連絡着くまでゆっくりしていきませんか?って、なんかすごい綺麗なところに連れてきてくれてね——』

「近くにいる人に電話代わってもらってもいい?」

『うんいいよ。——すみません、凛ちゃんが話したいって言うんだけど電話出てくださる?』

電話口に男の人が出る。『はい、もしもし眞鍋です。』




やっぱり眞鍋だ……。


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