推しが隣に引っ越してきまして 〜月の裏がわ〜


「文ちゃん〜、キスシーンってどうやるの〜」
佑月くんがおばあちゃんに言う。

「文ちゃんになんつー質問してんねん」
そばで聞いてた亮ちゃんが言う。
「キス?」
目を点にするおばあちゃん。
「そう、今度キスシーンあるのー」
「そりゃ男がエスコートしてあげなきゃだめよ」
「やっぱそうか、俺が先導しないと」
「そらそうよ」


文ちゃ〜ん、一体何を話してんの〜〜!
てか佑月くんキスシーンあんの?








その後数日間、おばあちゃんはお母さんに、
「どうしたらあんないい子たちに育つのかしら、きっとお育ちがいいのねぇ、お父様とお母様に大切に育てられたのよねえ。
またおしゃべりできたりしないかしら」

としきりにウィズに会えた時のことを嬉しそうに話していたという。

お母さんはというと、
「まあ、あんまりわかってなさそうだし、私以外の人に話しても、どうせばあちゃんがボケたとしか思われないだろうし、言わなくなるまで言わせておけばいい」と案外適当。


こないだ、おばあちゃん家に久しぶりに行くと、あの時亮ちゃんがくれたポスターがリビングの神棚の上に貼られていた。神棚の上て。なんだか余計に神々しい。


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