推しが隣に引っ越してきまして 〜月の裏がわ〜
ピーンポーン。
佑月くんの部屋のインターホンを押す。


ほんっとうにすみません。こんなことを頼むなんて、本当にごめんなさい。迷惑かな、迷惑だな。


「——はい。」
インターホンから佑月くんの声。
「あの……。」
ガチャ、ってドアが開く。
「どうしたの?」
髪の毛をセットしていない、Tシャツに短パンのラフな格好の佑月くん。お風呂あがりのいい匂いがする。
「お風呂入った後なら大丈夫です。」
「どゆこと!?」
「あ、いや……。」
そんな清潔な状態で、やつを触らせる訳にはいかない。まあそもそもそんなことを頼むなという話ではあるが。
佑月くんが、言い淀んでいる私のちょんまげをつまむ。
「ちょんまげ。」

ハッ……。額を押さえる。しまった、前髪を結んでたの忘れてた。恥ずかしい。

「可愛いね、なんか無防備で」

無防備で……?



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