推しが隣に引っ越してきまして 〜月の裏がわ〜
土曜日、夕方5時。
すっからかんになった佑月くんの部屋。同じ間取りなのに、物がないだけですごく広く感じる。
「4ヶ月間お世話になりました。」
佑月くんが部屋の壁を触る。
「凛ちゃんも、お世話になりました。」佑月くんが私に向かってぺこり。
「と、とんでもないです。」私もぺこり。私は緊張で、うまく喋れない。
佑月くんが私を見て、ふふって笑う。「緊張してる?」
私が頷くと、佑月くんが「なんでよ〜。」って笑う。それから、私が頭につけてる青色のヘアクリップを指でちょんちょん、ってする。「可愛いから、自信持って。」
いま、可愛いって言った。
「じゃ、行きますかー」
佑月くんが部屋を出るので慌てて後についていく。