推しが隣に引っ越してきまして 〜月の裏がわ〜




2時間ほど車を走らせて、マンションの駐車場に戻ってきた。あっという間だった。


「思い出づくりとか言って、大したことできなくてごめんね。ただドライブしただけだし。」
ううん、って首を振る。
「めちゃくちゃ楽しかったです。今までのドライブで一番。」
いや、今までの人生の中で一番。
「すっごく楽しかった。」
佑月くんは運転席に座って前を向いたまんまで。どんな表情をしてるのか、こっからは見えない。


なんて幸せな時間だったんだろう。胸がいっぱい。夢を見てるみたいにフワフワしてる。
「幸せすぎて私、この日のために生きてきたんじゃないかって……。」
なんて、重いと思われるかな。


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