推しが隣に引っ越してきまして 〜月の裏がわ〜
1週間後、会社。
「ご迷惑をおかけしました。」
課長のところに行って、ぺこ、ってすると
「お〜、大丈夫?元気になった?え、少し痩せた?あれ、これってセクハラ?」
課長があはは!って笑う。
.
昼休み。
そういえば、あの時、亮ちゃんが言ってた、ラーメン屋さん、なんてとこだっけ…。
予約制の、あの…、名前が出てこない。覚えておこうと思ったのに、熱で全部忘れてしまった。
「課長、ラーメン好きですか?」
「好きだねぇ〜」
「予約制のラーメン屋さんって知ってますか?なんか、地球…?なんとかの地球…?宇宙…?みたいなそんな」
「チャーシューは宇宙!」
「それです!」
「ラーメン好きには有名だよ〜。高いし、予約取れないから行ったことないけど」
調べると、店のインスタが出てきた。
メニューを見てぎょっとする。
「たっか」
一杯4000円もする。ラーメンで?
予約フォームに飛んでみると、一ヶ月先まで予約が埋まっていた。次の予約受付開始はまた一ヶ月後。え、嘘でしょ。めっちゃプレミアじゃん。
高級ラーメン、侮ることなかれ。ていうか、亮ちゃんは、この予約をすっ飛ばして、わざわざ車を出してくれたってこと?
『俺、ラーメン食べに行くとこやったんですけど〜。まぁでも、命救えたんなら良かったわ〜』
って笑う亮ちゃんを思い出す。
なんてことをしてしまったんだ、私は。