完璧な社長は、私にだけ素顔を見せて溺愛する
第1話 運命の出会い
「また今日もダメだった……」
スマホを乱暴に放り投げ、秋の夕暮れが金色に染める窓辺を背に、私は疲れ切った体をソファに沈めた。
「はぁ……」
深いため息が漏れる。
今日で何回目だろう。期待していた展開にならない、婚活パーティーは。
「春菜、今回のプロジェクトは大成功だったのに、婚活は今日も全敗だよ……」
電話の向こうで、親友の望月春菜が苦笑いしている気配が伝わってくる。
鎖骨にかかる長さの内巻きストレートボブが、スマホを握る首元で静かに揺れた。
普段は前髪をすっきりと横に流してクールビューティを演出している私だが、今は疲れ果てた一人の女性でしかない。
「梓、また今日も『お仕事頑張ってるんですね』のパターン?」
「そう。プロジェクトマネージャーって言った瞬間、みんな微妙な顔するの」
リビングのテーブルの上には、今日参加した婚活パーティーのパンフレットが無造作に置かれている。
『理想のパートナーと出会える!』なんて謳い文句の横に、パステルピンクのワンピースを着た私の姿が映り込んだ鏡がある。
普段の黒やネイビーのパンツスーツとは正反対の、女性らしい服装。
でも、この格好をしている時の私は、どこか演技をしているような気分になってしまう。
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