幼なじみの隠れた執着愛〜再会した彼は策士なCEOでした〜
鏑木社長は先程までとは一変し、いつもの穏やかな口調で微笑んでくれた。
こんな時なのに、社長の美しさに思わずときめいてしまう。
「あなたが書いた原稿は、本当に素晴らしかったです」
「あ、ありがとうございます」
「とても丁寧に綴られ、メリハリがありました。面白くてどんどん読み進めてしまいました」
「偽りのエッセイにそんな……ありがとうございます」
ゴーストライターをしていたことは許されないことだと思うが、それでも賞賛の言葉に嬉しさを隠せなかった。
「初めてあなたの小説を読ませてもらった時のことを思い出しました」
「……え?」
初めて私の小説を読ませてもらった時って――、どういうこと?
戸惑ったように見つめていると、社長はクスッと笑う。
「まだ気づかない? 僕だよ――望凪ちゃん」
「え……」
私は大きく目を見開き、食い入るように目の前の人物を見つめる。
どうして気づかなかったのだろう、優しげな瞳は彼そのものだったというのに。
「み、美鶴くん!?」
「うん」
美鶴くんはニッコリと微笑む。
私は驚きすぎて空いた口が塞がらない。
まさか鏑木社長が、美鶴くんだったなんて。
今日一日だけで様々なことがありすぎて、頭の処理機能が限界を迎えていた。