幼なじみの隠れた執着愛〜再会した彼は策士なCEOでした〜
私はきっぱりと言い切った。
もうお姉ちゃんの言いなりになるのはやめる。
両親の目を気にして幽霊みたいになるのはやめる。
「こんなことしたくはありませんでしたが、姉に言われて書くしかありませんでした。誠に申し訳ございませんでした」
「望凪!」
喚くお姉ちゃんを無視し、深々と頭を下げた。
謝罪しているのにどこか心はスッとしていた。
「やはりそうだったのですね」
鏑木社長は静かに頷く。
「社長っ! これは……っ」
「妹さんに書かせた偽りのエッセイを弊社でサポートすることはできかねます。そもそも出版も取りやめになるでしょうが」
社長がチラリと編集さんを見ると、編集さんは気まずそうに俯いていた。
「それから近々鵜久森さんの所属事務所から連絡があるでしょう。弁護士を探しておいた方がよろしいかと思いますよ」
「そ、そんな……っ」
お姉ちゃんは顔面蒼白になってその場にへなへなと崩れ落ちる。
お姉ちゃんのエッセイは意外な形で幕引きとなり、こうして私もゴーストライターから解放されたのだった。
私は鏑木社長に向かって改めて頭を下げた。
「鏑木社長、この度は大変なご迷惑をおかけし申し訳ございません。そして、ありがとうございました」
「いえ、とんでもございません」