雷の道「十五年ぶりの故郷で、初恋の彼女と再会した六日間」 ──記憶と現在が交差する、静かな再生の物語。
駅前のロータリーは昼過ぎなのに閑散としていた。
僕は高校生の頃によく通ったお好み焼き屋に向かった。
お好み焼き屋なんだけど、いつも焼きそばを注文していた。
そういう事はたまにある。
裏メニューが人気の店。
焼きそばは店のおばさんが作ってくれた。
熱く焼けた鉄板の上に生卵を割る。
その上に焼きそばを乗せて潰し、底からひっくり返すと卵が上になり、半熟の黄身が麺に絡まる。
青のりとカツオ節を上から振りかけるんだけど、その麺に絡まったばかりの黄身を食べたくて、急いで頬張ったものだ。
そこには僅かに広がる背徳感があった。
それは僕しか感じなかったのかもしれないし、そこに居た全員が感じて感じないふりをしていただけなのかもしれない。
誰も何も言わなかった。
ただ、いつもなら大声で意味の無いことを延々としゃべり続けていた仲間があの店では同じものを注文し、ただ黙々と食べていたんだ。
あの焼きそばをもう一度食べたいと思った。
あの舌に絡まる感触をもう一度味わいたいと。
だけど、次の角を曲がると僕の野望はあっさりと打ち砕かれた。
その古くて壊れそうだったお好み焼き屋は、まっさらなアスファルトの駐車場になっていたんだ。
よく見ると駅前の繁華街が歯抜けみたいな更地になっていた。
かつて栄えていた場所がいつの間にか僕の知らないところで消えていたんだ。
僕は高校生の頃によく通ったお好み焼き屋に向かった。
お好み焼き屋なんだけど、いつも焼きそばを注文していた。
そういう事はたまにある。
裏メニューが人気の店。
焼きそばは店のおばさんが作ってくれた。
熱く焼けた鉄板の上に生卵を割る。
その上に焼きそばを乗せて潰し、底からひっくり返すと卵が上になり、半熟の黄身が麺に絡まる。
青のりとカツオ節を上から振りかけるんだけど、その麺に絡まったばかりの黄身を食べたくて、急いで頬張ったものだ。
そこには僅かに広がる背徳感があった。
それは僕しか感じなかったのかもしれないし、そこに居た全員が感じて感じないふりをしていただけなのかもしれない。
誰も何も言わなかった。
ただ、いつもなら大声で意味の無いことを延々としゃべり続けていた仲間があの店では同じものを注文し、ただ黙々と食べていたんだ。
あの焼きそばをもう一度食べたいと思った。
あの舌に絡まる感触をもう一度味わいたいと。
だけど、次の角を曲がると僕の野望はあっさりと打ち砕かれた。
その古くて壊れそうだったお好み焼き屋は、まっさらなアスファルトの駐車場になっていたんだ。
よく見ると駅前の繁華街が歯抜けみたいな更地になっていた。
かつて栄えていた場所がいつの間にか僕の知らないところで消えていたんだ。