隠れ溺愛婚~投資ファンドの冷徹CEOは初恋の妻を守りつくす~
「どういうことなの?」

 茉結莉は居ても立っても居られなくなると、園子の側に駆け寄った。

「叔母さん。三砂さんは……慶一郎さんはね、元々は職人を目指していたの。でもおじいちゃんの言葉で、投資ファンドを立ち上げる決意をしたのよ」
「え……ちょっと待って……」

 茉結莉の言葉に、園子は片手を上げると、何かを思い出すように目線を揺らす。
 しばし考えこむように、こめかみに手を当てていた園子は、急にはっと顔を上げた。

「もしかしてあなた、よく工場に出入りしていた慶一郎くん……?」

 園子の言葉に、茉結莉は驚いたように三砂と顔を見合わせる。

「そうよ! 叔母さん、慶一郎さんのことを知っているの?」

 興奮したように顔を覗き込ませる茉結莉に、園子は納得したようにうなずくと、くすくすと笑いだした。

「知ってるも何も、お父さんから散々聞かされたわよ」

 園子は表情を緩ませると、にっこりとほほ笑む。

「おじいちゃんから?」

 驚く茉結莉と三砂の前で、園子はそっと障子を開けると、昔を懐かしむように庭の奥に目をやった。
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