隠れ溺愛婚~投資ファンドの冷徹CEOは初恋の妻を守りつくす~
「だから、私の身勝手なお願いを聞いてくれたんですか?」

 茉結莉の声に、三砂は再びバツの悪そうな顔を見せる。

「茉結莉はあの日、相当思いつめてた。あそこで俺が断ったら、君は他の誰かを探すかも知れない。そんなの、想像しただけでも耐えられない。だから森野のままでもいいから、君を手に入れたかったんだ」

 そう言って眉を下げる三砂を見上げながら、茉結莉はあの日の熱を思い出した。

(だからあんなにも情熱的に愛してくれたんだ……)

 茉結莉は再び幸せを噛みしめるように瞳を上げる。
 すると三砂は、あの日と同じように、そっと茉結莉の左手を引き寄せた。

「茉結莉、もう一度、あの日をやり直さないか」
「もう一度?」
「あぁ。三砂慶一郎として、もう一度君に、最高の恋をプレゼントさせてくれないか」

 想像もしなかった三砂の提案に、茉結莉は目を丸くする。
 あの日はこれが最初で最後の恋だと思っていた。

(でも、今は違う……。慶一郎さんと私の、ずっと続いていく恋なんだ)

 茉結莉は顔を上げると、にっこりとほほ笑みながら大きくうなずいたのだ。
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