電車の向こう側。【完結】
放課後。
夕日が差し込む廊下を、未来はぼんやり歩いていた。
教室の窓から差す橙色の光が、まるで水面みたいに床に広がっている。
静まり返った校舎。
どこかでピアノの音が響いた。
——澄んだ、優しい音。
どこか懐かしくて、胸が締めつけられる。
未来は吸い寄せられるように音楽室の扉を開いた。
そこにいたのは——
黒髪の顔が整った青年。
白いシャツの袖をまくり、静かに鍵盤を見つめている。
指先が音の粒を紡ぐたび、空気が震えた。