解けない魔法を このキスで
おいこら!
「こら、もう10時だぞ」
夕食のあと、手配した部屋のカードキーを渡すと「あと少しだけやったら退散しますね」と言っていた美蘭。
だがやはり、あと少しだけは全然少しだけではなかった。
高良はわざと美蘭の視界に入るように顔を寄せて、声を張る。
「こーらー! 早く部屋に行け」
「わっ! びっくりしたー。急に大きな声出さないでください。針が刺さったら危ないですよ?」
「君が気づかないからだろう!」
「そうなんですか?」
「いいから、ほら。早く片づけろ」
「はーい。新海さんこそ、どうぞお帰りくださって結構ですよ?」
高良は無表情で口をつぐんだ。
「ん? どうかしましたか?」
「そうやって俺を追い出してから、また作業に没頭するつもりだろう」
「えっ、あ、いえ、そんな」
「分かりやすい動揺だな。だが残念なことに、俺の住まいはここだ」
……は?と美蘭は固まる。
「ここ? え、ここにお住まいなんですか?」
そう言って不思議そうにリビングを見渡した。
「メゾネットになっていて、寝室はこの上にある」
「ええー、すごい! 素敵ですね。毎日こんな綺麗な景色を眺められるなんて」
「いいから、早く部屋に行け。君もそこから夜景をゆっくり眺めたらいい」
「分かりました、ありがとうございます。あ、最後にドレスを試着して終わりにしたいので、席を外していただけますか?」
「分かった。それじゃあ、また明日の挙式で」
「はい、よろしくお願いいたします。おやすみなさい」
「おやすみ」
ドレスを試着?と少しの違和感を感じつつ、高良は螺旋階段で2階の寝室へ向かった。
夕食のあと、手配した部屋のカードキーを渡すと「あと少しだけやったら退散しますね」と言っていた美蘭。
だがやはり、あと少しだけは全然少しだけではなかった。
高良はわざと美蘭の視界に入るように顔を寄せて、声を張る。
「こーらー! 早く部屋に行け」
「わっ! びっくりしたー。急に大きな声出さないでください。針が刺さったら危ないですよ?」
「君が気づかないからだろう!」
「そうなんですか?」
「いいから、ほら。早く片づけろ」
「はーい。新海さんこそ、どうぞお帰りくださって結構ですよ?」
高良は無表情で口をつぐんだ。
「ん? どうかしましたか?」
「そうやって俺を追い出してから、また作業に没頭するつもりだろう」
「えっ、あ、いえ、そんな」
「分かりやすい動揺だな。だが残念なことに、俺の住まいはここだ」
……は?と美蘭は固まる。
「ここ? え、ここにお住まいなんですか?」
そう言って不思議そうにリビングを見渡した。
「メゾネットになっていて、寝室はこの上にある」
「ええー、すごい! 素敵ですね。毎日こんな綺麗な景色を眺められるなんて」
「いいから、早く部屋に行け。君もそこから夜景をゆっくり眺めたらいい」
「分かりました、ありがとうございます。あ、最後にドレスを試着して終わりにしたいので、席を外していただけますか?」
「分かった。それじゃあ、また明日の挙式で」
「はい、よろしくお願いいたします。おやすみなさい」
「おやすみ」
ドレスを試着?と少しの違和感を感じつつ、高良は螺旋階段で2階の寝室へ向かった。