解けない魔法を このキスで
解けない魔法
そしていよいよクリスマスイブ。
美蘭と高良の結婚式の日を迎えた。

美蘭は『フルール葉山』の控え室で、真っ白なウェディングドレスに着替える。

「ひゃー! 美蘭、超絶に美しい!」

支度を手伝ってくれた未散が、頬に手を当てて声を上げた。

この日の為に美蘭が作ったのは、オフショルダーのプリンセスラインのドレス。
首筋から肩までのラインが美しく見え、胸元はバラの刺繍とスワロフスキーで飾った。
最高級のミカドシルクを使ったノーブルなイメージのドレスだが、ふんわりと柔らかく広がるスカートは少し甘さもある。
長いトレーンは波打つように軽く、その上を繊細なレースのベールが彩った。

髪型もクラシカルにアップでまとめ、きらめくティアラとお揃いのネックレスやピアスを着ける。
最後に真っ白なバラにブルースターをちりばめたキャスケードブーケを持ち、鏡の前に立った。

「すごい。これまで作ってきたドレスの中でもダントツに素敵。美蘭の最高傑作ね」
「そんなに?」
「もちろん。でも美蘭の幸せのオーラがひと際ドレスを輝かせてるのね。ウェディングドレスは花嫁が着て初めて完成する。まさにその通りよ」
「なんだか気恥ずかしい。でもありがとう」

最後に未散は、美蘭をそっと抱きしめる。

「幸せにね、美蘭」
「うん。ありがとう、未散ちゃん」

二人で顔を見合わせて、ふふっと笑い合った。
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