明治恋奇譚 〜藤堂様、ミエテマスヨ!~
 真っ直ぐで、少し不器用なその言葉。けれど、その声には揺るぎのない誠実さが宿っていた。

(この人は、ずっと、わたくしのそばにいてくれた……)

 苦しい時も、怖い時も、悲しみに沈みそうになった時も、彼の手は、いつも温かく差し伸べられていた。
 思えばあの夜、迷わず自分を抱き上げてくれたあの腕の中で、すでに心は決まっていたのかもしれない。
 その想いが、胸の奥からふわりとほどけて、”好き”という感情が広がっていく。

 玲子の頬がほんのりと朱に染まる。
 その気づきは、何よりも静かで、けれど何よりも確かな始まりだった。

 玲子はふわりと花が開くように微笑んだ。

「……ありがとうございます。将吾様」

 その微笑みに、将吾も思わず口元をほころばせる。

「玲子殿、好きだ」

 それは嘘のない確かな想いだった。
 将吾の告白に、玲子の鼓動は大きく波打つ。
 誰からも大切にされずに、切ない想いで過ごして来た過去の日々。それでも、いつかは大切な人とめぐり逢い、幸せになりたいと願っていた。
 今、その幸せが目の前にある。

「わたくしなどが、将吾様のお心を頂いてもよろしいのでしょうか」
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